構造化信仰の解毒完了

昨日、また卒業生を送りだしました。
私の支援からの卒業です。
目標だった受験にも合格しましたし、ポジティブな変化も見られました。
自分自身の弱点を知り、対処の仕方、成長の仕方、心身の整え方も身に付けましたので、「進学しても頑張ります!」と力強い言葉を残して旅立っていきました。
最初は受け身で、おどおどしていたのですが、見違えるほど、たくましくなったような気がします。
ひと時でしたが、成長する姿をそばで見られたのは、本当にうれしいことです。

嬉しいことといえば、この若者のお母さんの変化もですね。
最初にお会いしたときは、「視覚支援」「視覚支援」「視覚支援」の方でした。
なんでもかんでも、紙に書いて教えようとしていましたし、うまくいかないことがあれば、「このし書く支援のどこが悪いんでしょうか?」と、視覚支援にすべての原因があると考えているような方でした。
「構造化すれば、自閉症の人はハッピーになる」という当地特有の誤学習をされてましたね。
視覚支援に親御さんの方がこだわってしまって、本人は全然成長できないという典型的なパターンでした。
だって、構造化しても本人が変わらなければ、状況は変わりませんから。
だって、構造化ばかり見ていて、本人を見ていませんから。

ですから、依頼された内容を本人にクリアしてもらうことと同時に、裏の目標として「構造化信仰の解毒」がありました(笑)
とにかくお子さんを見てもらうことの重要性を訴え続けましたね。
お子さんには、こういった特徴があり、課題がある。
それを実際の場面を通して理解してもらいました。
そのあとで、じゃあ、お子さんを弱点を克服するには?どうやって成長、発達させるの?という点を私がお見せし、お母さんにもやってもらいました。
いくら説明しても、お母さん自身が支援し、ポジティブな変化を実感できなければ、考え方は変わっていきませんので。

お子さんが変わっていくと、お母さんも変わっていきましたね。
そして、お母さんの子育ての仕方が変わるから、お子さんもさらに変化が加速していくんですね。
構造化に当てはめて失敗を繰り返していた悪い流れが変わり、良い循環になっていきました。
構造化に当てはめられた本人も辛かったでしょうし、当てはまらなかったのを見ていたお母さんも辛かったのでしょう。
親子関係も良くなって、「子どもが小さかった頃のように、冗談を言って笑い合える関係になりました」と言っていましたね。

本人を成長させる方法って、一つじゃないんですよ。
「この方法をすれば、自閉症の人は必ず良くなります」なんて言うのはないんです。
自閉症をひとくくりしているのもおかしいと思いませんか?
同じ診断名だって、一人ひとり違うんです。
背丈だって、性格だって、脳みそだって、経験だって。
だから、その人のことをしっかり見るんです。
そして、その人に合った支援をいろいろな方法から取り入れ、オーダーメイドしていくんですね。

お母さん、今ではご自身で考えた方法を用いて、お子さんと接していますね。
それが的をえてますし、お子さんも心地良く成長してるんです。
この姿を見て、卒業していくのは、本人だけではないと思いましたね。
お母さんも、私の支援から卒業していく。
「家族みんなで成長していく」という本来の姿を取り戻せて、本当に良かったと思いました。
私も、本人の成長と明るい未来を信じていますし、期待しています!

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