登校してランニング、授業でもランニング、給食のあともランニング・・・

「就職するためには体力が必要なんですよね?」と保護者の方から尋ねられることが多いです。
特に特別支援学校に通っているお子さんのお母さんたちから。
一般的な高校や大学に通っているお子さんのお母さんたちからはほとんど聞きません。

どうもお母さんたちのお話を聞いていると、体力がないと夏場にバテてしまったり、毎日働くことができない、という情報を刷り込まれている様子があります。
確かに体力はある方が良いに決まっていますし、不健康だと仕事は続けられません。
でも、体力面ばかりに注目しすぎるのは・・・。

仕事に必要な体力は、仕事に就いてから付いてくるのでは、と思っています。
就職した初めの頃は、朝の早起きも、営業の外回りもとにかく辛い。
でも、時間が経って慣れてくればどうってことはなくなる、という経験はないでしょうか?
仕事を続けている中で、"その仕事の身体になる"というようなこと。

やっぱり仕事が続けられるかどうかは、仕事自体が好きかどうか、ということだと思います。
特に自閉症の人たちは、仕事をする"意義"のような抽象的なことに対する理解は苦手です。
だから、苦手な仕事や好きではない仕事は、素直にやりたくないと感じるので続きません。
また、今やっている仕事がどんな意味や価値があるのか、が分かりにくい仕事も続けていくことは難しいと言えます。
給料という具体的なものが最大の動機づけという方もいますが、やっぱり続けるには「仕事自体が好き」という点が重要であり、本人にとっても分かりやすい動機づけになると思います。

就活中の学生に、「就職するために体力をつけるような運動をしていますか?」と尋ねても、ほとんどの学生はそんなことに注目すらしていないと思います。
それだったら、特別支援学校に通っている学生たちも一緒ではないでしょうか?
定型発達の学生たちと同じように、就職に必要なことは、その仕事に必要な技能や知識を身につけることだと思います。

厳しい言い方かもしれませんが、体力がいくらあっても、働くために必要な技能と知識がない人は、どこも雇ってはくれません。
昔の養護学校のような「とにかく校庭を走る」というような教育から脱却しなければならないと考えています。
あくまで体力作りは健康的な生活を送るために必要なことであり、就職できるかどうかとは分けて考えるべきだ、と私は思っています。

例え体力がなかったとしても、好きな仕事に就くことができれば、仕事も続くだろうし、その仕事に合った身体にもなってくると思います。
ですから、私たち支援者は子どもたち一人ひとりに合った仕事を見つけることが重要になってくるのです。

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1370】それを対症療法にするか、根本療法にするかは、受け手側の問題