2021年1月10日日曜日

【No.1133】何も変化のない時期が、真の発達している時期

お正月は本をじっくり読もうと思ったのが昨年の暮れ。
大量の本を買い込み、お正月を迎えたのですが、読んでいるうちに止まらなくなり、それから何度も書店に行っては本を買い足し、今日に至ります。
ジャンルは関係なく、気の向くままに。
時々あるんですね、このように無性に本を読みたくなる時期が。
今は入力する時期なのでしょう。


発達障害の診断もそうなのですが、子ども達の発達状態、評価は主に出力を見て判断されます。
発達、知能検査には言語理解など、どのくらいの言葉の理解があるかを調べるものがありますが、これも単にお子さんが聞いて分かっているだけではなくて、聞いて理解し、それを表出できてはじめて「理解できている」と評価されるものばかりです。
ですから、「検査結果では、言葉の理解が乏しい、難しいと判定されたけれども、家では問題ないんです」と仰る親御さんが多いのです。


動作を含め、どのくらい表出ができるかで診断や発達、知能指数が決められてしまうのが現状です。
いくら「うちの子、わかっているんです」「〇〇という行動ができる能力は持っているんです」と訴えても、第三者から見て、それが確認できなければ、「ない」という評価になります。
では、この表出されていない内なる言語、理解、動作、能力は本当に「ない」と評価しても良いのでしょうか。


言葉の遅れがある子に対して、りんごを見せて、「りんご」と言わせるような出力の訓練法があります。
言葉じゃなくて、りんごの絵カードを使って表出させようとするのも同じですね。
でもこれは人間の子がどのように言葉を覚えていくか、またヒトがどのように進化し、言葉を習得してきたかをみれば、誤った方法だというのがわかります。
赤ちゃんは胎児期から母親の声(実際は音律、音程など)を聞き、出生後は周囲の人の言葉を聞いて、そして1歳を過ぎたあたりから表出が始まります。
進化の過程をみても、ヒトが言葉を使い始めたのはつい最近の話(7万年前)であって、それより前の祖先たちは身体、動作でコミュニケーションをとっていたわけです。
となれば、言葉の表出の土台は身体と動作であり、その前段階は意味の理解だということがわかるのです。


同じように、特定の動作、年齢相応の動作ができないというのは、その前段階である準備が整っていないということになります。
はさみが使えない子に、はさみを持たせてたくさん紙を切らせても身につきません。
たとえできたとしても、それは指の動かし方のパターン化であって、はさみが使えるようになる、という技能の獲得にはならないのです。
切るものがかわれば、はさみで切れなくなるのはその現れです。
今までの特別支援はこのような表出に注目し、それを繰り返すような「表出できないから、その表出を教え込もう」というような支援、教育ばかりだったと思います。


言葉の発達で言えば、言葉の理解が重要だということです。
言葉の表出が遅れているからといって、表出の訓練をしても、ほぼ意味はありません。
はさみの例のようにパターン的に発するだけになります。
表出が遅れているからこそ、受信のほうからアプローチするわけです。
そうなると、今、言葉の理解を育てている段階のお子さんがいて、それも重要な発達段階だといえます。
なので、支援者が表出できている部分だけを見て評価したとしても、親御さんのほうがそっちに引っ張られてはならないということになります。
支援者から「言葉に遅れがある」と言われれば、親心としては早く言葉が出るようにと、表出のほうに意識が向いてしまいます。
支援者から「同年齢の子は〇〇ができるのに」と言われれば、その動作ができるようにと、表現のほうに意識が向いてしまいます。


子どもの内側には、まだ表出されていない、まだその前段階にある内なる言語、理解、動作、能力があるものです。
そこが満たされて初めて、表出と表現につながります。
ですから、本当は表出が増えていかない、親としては発達、成長、変化が感じられないもどかしくもある時期が、子どもさんにとってはとても重要な時期なのです。


私は親御さんにこういうお話をします。
「私達が見て確認できる子どもさんが表出しているところは枝葉の部分です。表に出ていない部分のほうがずっと大きく、発達にとっては重要なのです。子どもさんに変化が見られないときこそ、子育ての頑張りどきですね」と。


昨日のラジオでも、親御さんの待つ姿勢に関するお話をさせて頂きました。
神経発達から見ても、一度、繋がってしまえば、あとはどんどん表出が増えていくばかり。
つまり、表出って結果なんですね。
何も変化のない時期は、子どもさんの準備期間であり、発達している時期。
それがわかると、ただ待っているのではなく、もっと能動的に、わくわくしながら子が発達する時間を親御さんも過ごせると思います。




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