2019年1月16日水曜日

知能検査は、子どもの“未来”を切り取っているわけじゃない

「IQは変わらない」
「知的障害の子は、ずっと知的障害だ」
そんな風に捉えている人がいるなんて驚きです。
まあ、以前から、そういった人もいるのは、なんとなく知ってはいましたが、あくまで“勘違い”だと思っていました。


「IQは変わらない」というのは、“本人の”IQが変わらないのではなく、書面上、検査結果で出たIQが変わらないという意味でしょう。
そりゃそうですね、検査を受けたあと、「この検査結果は、うちの子をちゃんと表していない!」などと言われたら困りますから。
IQが変わらないのは、次の知能検査を受けるまでの間でしょ。
IQが変わらないんだったら、一度受ければ済むわけですから。


定期的にIQを確認するのは、本人の発達、成長を客観的に見るため。
あとは、いろんな公的なサービスを受けるための根拠を得たいがため。
「希望者全員」とならない有限の社会資源なのですから、本人の変化を見たいのです。
つまり、前提として“変化”がある。
特に、年齢が低ければ低いほど、子どもの変化は大きいものです。


ですから、「IQが変わらない」「一度付いた知的障害という診断は変わることがない」というのは珍説でしかありません。
最初の検査で「知的障害中度」と出た。
その子が成長していく中で、当然、できることも増えるし、認知面、身体面で発達がみられる。
でも、中度の範囲を超え、ぎりぎり軽度のラインをまたぎそうになると、ピタッと発達が止まる…??


言葉の遅れから、相談→受診→知能検査という流れが多いですね。
言葉の遅れがあれば、当然、検査結果は低く出ますし、知的障害の範囲に入ることもあるでしょう。
でも、この子が言葉が出るようになったら、どうなるのか。
当然、検査結果は変化します。
言語以外にも、未発達だった部分が育てば、最初に知的障害と言われていた子が、正常の範囲に入ることなんて当たり前にあるのです。


そもそも小さい子どもが、落ち着いて検査なんか受けれるわけがありません。
子どもは特に、その日の体調や機嫌に左右されるもの。
家でできていたことが、いきなりの場面で戸惑い、実力が出せないことだってあります。
だから、検査前日にあまり寝させないようにして、当日を迎えさせようとする親がいるのです(ブ)
環境側から検査に影響を与えられるようなことができちゃうので、つまり、そういった条件で左右してしまう値なのですから、必要以上にIQにこだわったり、一喜一憂したりすることはないのです。
知能検査は、提出書類の一つくらいなもの。


確かに、我が子に知的障害があるとわかれば、親御さんのショックは経験した人しかわからないくらい大きなものだと想像します。
でも、あくまで、そのとき、その時点での結果、値でしかありません。
一度、知的障害と出たら、その状態が一生変わらない、知的障害の子は大人になっても知的障害という意味ではないことだけ押さえておかれると良いと思います。
ほとんどの子どもさんの場合、発達の途中、未発達の部分が多いことが背景にあるはずです。


以前、関わっていた若者が高校生のとき、「今回の検査でIQが15上がりました♪」と言うことがありました。
この若者は、就学前の検査で、「重度の知的障害」。
そこから年齢が上がり、本人と親御さんが育っていない部分、苦手な部分をコツコツと積み重ねていき、重度から中度、そして高校の時点で軽度の範囲に入りました。
今、この若者は、普通の人として一般企業で働いています。
極端な話になるかもしれませんが、もし親御さんが就学前の検査結果をもとに、「この子はずっと重度の知的障害のまま」と捉えてしまっていたら、子育ての仕方も、この若者の今も大きく変わっていたかもしれません。
本人の能力よりも先に、周囲の考えが未来を決定づけてしまう恐ろしさ…です。


IQは変わりません。
次の知能検査を受けるまでは(笑)
でも、子どもは日々、発達し、成長しています。
子どもの“今”を切り取る検査はあっても、“未来”を切り取ってこれる検査は存在しないのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿