いざ通常学級へとなると、決まって出される警告

支援学級在籍の子が、通常学級で学べるくらいの段階までくると、どうして「友達関係でうまくいかないかも」と言ってくるのでしょうかね。
「いじめられるかもしれません」
「友達ができないかもしれませんね」
「仲間外れにされちゃうかも」
「うまくかかわれなくて、トラブルが起きるかもしれませんよ」
「転籍しちゃうと、あなたの子に、先生一人つきませんよ~、お母さん」って…。


1つの学校の、一人の先生が言っているのでしたら、「その子のことを思って心配されているのだな」とも思うのですが、どの学校の親御さんも「こうやって言われたんです」と言うもんだから、裏を読みたくなるのです。
支援学級から通常学級へ行った子が、必ずいじめのターゲットにされるとも言い切れませんし、通常学級に通う子たちの中でもいじめは起きています。
それに、いじめられる方ではなく、いじめる方に問題があるのだから、それを支援学級に通う子に言って、暗に「やめときなさい」というのはおかしな話。


支援学級から通常学級へ転籍しようとする子が、いじめっ子、乱暴者だったら、止められるのもわかりますが、いじめられる可能性は、他の子と同じはずなのに、「いじめられるかもしれません」と言うのは、ただ脅しているだけ、ただ転籍させたくないだけ、と考えてしまいます。
「いじめられるかもしれないから、支援学級で」という主張は、その子が学校でより良く学ぶ機会を奪うことと同じだと思うのです。


学校というのは、やはり教科学習が基本中の基本だと思います。
小学4年生くらいの学力をもてるかどうかが、子ども達の将来の可能性とリスクに関わってきますので、障害の有無、通常学級、支援学級に関わらず、このくらいの学力をしっかり養うのが大事だといえます。
ですが、どうも学校という文化は、「お勉強ができて、友だちがたくさんいる」という子を目標としているような気がします。
確かに、地方公務員になるには、お勉強ができて、友だちがたくさんいる人の方が良いでしょう。
でも、それは狭い仕事観ですね。


別に友だちがたくさんいなくても、しっかり任された仕事を行うことができれば、働くことができますし、生活していくこともできます。
友だちだって、学校という年齢と住む地域で決められた狭い集団の中でできなくとも、趣味を通して縁が生まれる中だってあります。
たとえマニアックな趣味だったとしても、マニアックな趣味同士でつながれば良いのですから、無理やり狭い学校の中で友だちができなくたって構いません。
大事なのは、しっかり学べるかどうかだと思いますし、学べる姿勢をきちんと養えるかだと思います。
支援学級から通常学級へ行っても、45分、50分、しっかり授業を受け、学ぶことができれば、それで良いのでは、と思うのです。
友だちができるかどうか、いじめのターゲットにされるかどうかは、通常学級で学ぶことの判断とは別問題だと考えます。


以前にも書きましたが、この地域の文化、また支援学級へ支援学校の先生がどんどん入ってきてからというもの、支援学級が支援学校化しているような気がしてなりません。
極端に少ない教科学習の時間。
個々に合わせたカリキュラムではなく、クラスの中で一番困難が多い子に合わせたカリキュラム。
そして、お世話係とかいう意味不明な係に、「もう清掃会社に就職内定ですか?」というくらい行う清掃活動と、「もうネジ工場に就職内定ですか?」というくらい行うネジ回しの課題…。


学校の中に支援学級があるというのは、通常学級の子たちとの交流が強みのはず。
支援学級で学んでいたけれど、成長と共に「通常学級の方がより良い学びができるかも」となれば、どんどん通常学級に行けば良いと思います。
行ってみて、まだ足りない、難しい部分があれば、それが新たな課題になり、勉強すればよいだけの話。
うまくいかないこと、失敗したことは成長の糧になるのですから、それをさせずに機会を奪うことは、その子の学ぶ権利を奪ったのも同じだといえますね。


通常学級で、集団の中で、同世代の子の中で、学ぶための準備ができた子には、どんどんチャレンジしてほしいと思います。
今まで、そういった応援をし、現在、通常学級で学んでいる子ども達がいますが、みなさん、伸びやかに学校生活を送っています。
「同じ年齢の子がたくさんいる方が楽しい」
「いろんな勉強ができるから楽しい」
と言う子もいます。
冒頭の「いじめられるかも」と言う大人よりも、子どもの方がずっと柔軟ですね。
中に入ってしまえば、入ってきた子も、入ってこられた子も、自然と馴染んでいくものです。

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