【No.1386】大人の相談者が働くようになる理由

大人の相談者とお話しすると、「なにが人生を分けたのだろうか?」と思うのです。
発達に遅れがあろうとも、凸凹があろうとも。
自閉症であったとしても、ADHDであったとしても。
働いて自立している人がいるし、なんならそっちのほうが多数派でしょ。
よく専門家は「自閉症だから、こんな特性があるから、働けない」などというけれど、それは反対で実態は「働けないから、発達障害の診断をつけた」というのだと思う。
専門家は問題をややこしくすることで存在意義を示しているのかもしれませんが、結局、働けないのはその人と仕事のミスマッチであり、対人面でトラブルが起きるのはその人が嫌われているだけ。
仕事も、他人も、世の中にはたくさんあるのだから、自分に合う仕事と人を選択すればいいのではないでしょうか。


だから啓発活動に勤しむ当事者や支援機関に通うのは遠回りだと思います。
いや、深層心理では働きたくないし、自分をいい子いい子してくれる人としか付き合いたくないのでしょうね。
就労支援がうまくいかないのは支援者側のうでの問題もあるけれども、そもそも真剣に働きたい、自立したいと思う当事者が少数ということもあるのでしょう。


自慢じゃないけれども、私のところに相談に来た大人の当事者さん達は結構多く働くし、自立していく。
その理由は有料のサービスなので、はじめから本人に現状を変えたいという意思があるからと、上記のように仕事と付き合う人を変えることを提案するから。
自分自身を変えるのは時間がかかるけど、職場や人間関係を変えるのはその日でできますね。


ですから発達相談の時間は、ご本人の自己分析が中心になります。
どの部分に発達の課題があり、どの部分でそこを補ってサバイバルしてきたのか?
発達の凸凹、能力の凸凹、手持ちはどんな感じ?
「心地よい」はなに?
どんな名もなき遊びをしてきた?
今までの人生で幸せだったとき、どんな場所、環境だった?
そのあたりを紐解いていけば、なぜ、その仕事がうまくいかなかったかがわかり、どんな仕事が適しているかが見えてきますね。


障害があるというと、弱者というイメージがつくが、私はそうは思わないのです。
もちろん、相談者の多くはいろんな困難や苦悩、生きづらさを持ちつつ、今、目の前に来ている。
だけれども、別の言い方をすれば、そんなに困難があろうともサバイバルして、生き抜けるくらい生命力があるのです。
だからこそ、本人たちの内側にある生きる力が発揮できるような環境を見つけていく。


そして心身が楽になるような取り組みも提案し、実行してもらう。
たくさんの不具合を抱えながらも生活してきた人たちですから、たった1つでも、たとえば聴覚過敏や体温調節機能、睡眠や食事、排泄などが改善できれば、ぐっと生きやすくなります。
ある若者は、足の感覚がわかるようになって「とっても歩くのが楽になった」と喜んでいましたし、別の若者は「おしっこが出る感覚が掴めるようになって落ち着いて活動できるようになった」と喜んでいました。
発達援助に関するアプローチにこだわらなくても、個別の課題をクリアさせるアイディア(ヨガや整体、マッサージや温泉など)は世の中に溢れていますね。


「発達障害」「自閉症」と言われちゃうと、なんだか対応できないような、なすすべがないような気がしますが、自分が続けられる仕事を見つけ、心身が整うような環境と活動を生活の中に取り入れていくことは、みんなに共通する大事なこと。
つまり、支援を受けないことが一番の自立への近道!




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