「その人の中に入れる支援者」を目指しています!

自閉症支援で必要な力を挙げるとすれば、私は第一に「想像する力」を挙げます。

私はセッションしているときに、「目の前にいる人になりたい」と思うことがよくあります。
そうすれば、その人がどのようにこの世界を捉えているか、が分かり、望ましい方向へ導くことができるからです。
しかし、実際にそのようなことはできません。
私は自閉症の人とは異なるタイプの脳を持っていますので、自閉症の人の世界を覗くには想像するしかありません。
想像するためには、自閉症に関する知識や経験、そして多くの自閉症の方たちと実際に接する必要があります。

いくら研鑽や経験を重ねたとしても、目の前にいる人のことをすべて正確に想像することはできません。
ですから、支援を組み立てていくときには"仮説"と"検証"を繰り返します。
現在の本人の状況や環境、過去の学習や様子から、その言動の理由の仮説を立て、実際の支援を行います。
そして支援がうまくいけば、仮説が正しかったと判断し、そうでなければ、仮説に誤りがあったと考えます。
自閉症の人は実態と支援がピッタリあったときに、ポジティブな変化が見られます。
そのために何度も仮説を立て、検証する必要があります。

日頃から想像力を養うため、物事の理由を考えるようにしています。
この道がまっすぐではないのは、昔は川だったからではないだろうか。
北海道の家には塀がないのは、除雪を考えてのことではないだろうか。
あの人の言動の背景、いつもと違う様子には何があったのだろうか、など。
また、専門バカになっては反対に想像の幅を狭めてしまうと思いますので、自閉症支援以外のことにも興味関心を持ち、学ぶ姿勢を大切にしています。

このブログを書く理由の一つに、私の経験を共有したいと考えたからです。
私の支援方法や考え方がすべて正しいとは思っていません。
でも、みなさんの目の前にいる人の支援を考える上での1つの仮説になるのでは、と思っています。
まったく何から支援を始めたらよいか分からないと思っている方のヒントになってもらえたら嬉しいです。
そして、過去に一緒に働いていた仲間たちに、その当時、きちんと教えられなかったことを伝え、応援し続けられることを願っています。

私が目指す究極の支援者は「その人の中に入れる支援者」です。
そのためにも、想像力を養っていきたいと考えています。

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