【No.1401】悩みを育てるお手伝い

治るということは、悩みがなくなることではなく、悩みを忘れていくこと。
そんな風に私は感じています。
悩み自体はなくなるわけじゃないけれど、悩みの種類が成長していく。


相談当初は問題行動や感覚過敏、遅れやヌケをどう育てていくか、など、発達に関わる悩みが中心です。
しかし、そういった悩み、課題が一つずつクリアされていくと、徐々に友達関係や自我の芽生え、進路に関する悩みへと変わっていく。
相談を受けている中で、「それって、同年代のお子さんと親御さんが悩むことですよね」ってことがあると、その子本来の発達の流れに戻っていっている合図になる。
指摘されたお母さんも、「ああ、そういえば、これってどの子も経験する悩みですね」って、パッと明るい顔になる。


若者たちの相談も同じことがある。
疲れやすさや身体の動きのぎこちなさ、トラウマや愛着障害に悩み、苦しみ、私のところに尋ねてくる。
当然、「私は生きづらい」「苦しい」と訴える。
だけれども、それらの課題が解消されていくと、いつしか「どんな仕事があっていると思うか」「面接はうまくいくだろうか」「恋人はできるだろうか」「親のことを許せるだろうか」と悩みの種類が変わっていく。
口では同じように「私は生きづらい」「苦しい」というけれども、そこに空虚感がなくなり、実態を持った重さというか、そこに生きている実感が伴ってくる。
そのことを指摘されると、涙をこぼし、喜ぶ若者の姿がある。


人間、生きている限り、悩みはなくならない。
逆に言えば、悩みがあるからこそ、生きている実感があるのかもしれない。
発達の遅れや凸凹、症状やトラウマなど、振り回される悩みから自分の意思が入る悩みへの成長。
私のところに来れば、悩みがなくなると思っている人も多いが、私自身、悩みを育てるお手伝いをしていると思っている。
お母さんは、我が子の子育ての悩みを愉しめるように。
若者は、自分で決められる悩みが持てるように。


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