胎内と誕生後で、2度進化の過程を辿る

「きみは、お母さんのおなかの中で、こんな風に泳いでいたんだね」
そんなことを言いながら、息子と一緒にお風呂に入る。
ついこないだまで、お母さんの胎内で泳いでいた息子。
今はお風呂の時間に、胎児に還る。


お風呂の中で脱力し、プカプカと身体を浮かばせる。
かと思えば、両手、両足を激しく動かす、身体をクネクネ曲げる。
きっと胎内で、こんな風に外に出るための準備をしていたのだろう。


胎内で過ごした十月十日は準備の期間。
その準備は、進化の過程を辿りながら行われる。
受精卵という細胞の段階から、魚類、爬虫類、哺乳類、ヒトと歩んでいく10か月。
そして、ヒトの状態で産まれ、文化、環境の中で人になっていくのが人間。


私もかつては胎内で過ごした一人。
だから、胎内での10か月を想像してみる。
受精卵の私は、プカプカと母親の胎内で漂っていたのだろう、上も、下も、前も、後もない世界で。
幾度となく、細胞分裂を繰り返していく中で、徐々に上下がわかり、回転を獲得。
回転やねじりが、背骨を動かすことへとつながり、魚類の段階へと進む。
魚類のように背骨で泳ぎの練習。
そうしているうちに、手足という末端ができてくる。
手足が動くようになれば、それを同時に動かして移動の練習、爬虫類のように。
そして、同時に動かしていた手足が、それぞれで動かせるようになり哺乳類の段階へ。
哺乳類の段階までくれば、あとは胎内の外へ出る練習を繰り返し、誕生の日を待つ。


誕生後も、進化の過程をもう一度繰り返すように感じる。
寝がえりは、魚類のようで、ずりばいは、爬虫類のよう。
はいはいは、哺乳類で、よちよち歩きは、ヒトのようだ。
胎内で細胞から魚類、爬虫類、哺乳類、ヒトという過程を辿って準備する。
そして、また誕生後も同じ進化の過程を辿る。


ということは、誕生後の進化の過程を見れば、胎内でどのように過ごしたかがわかるかもしれない。
また誕生後の進化の過程で不具合があれば、「胎内でのやり残し」というイメージで子どもを包み込み、「胎内の分と誕生後の分」と言って2つ分療育すると、発達の課題はクリアできるかもしれない。
「胎内と誕生後、2度、進化の過程を辿る」
最後に浮かんできた言葉は、これだった。

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