「〇〇君の支援に携わって、いろいろと勉強になりました」って言ってイイの!?

よく謙遜の気持ちからか「〇〇君の支援に携わって、いろいろと勉強になりました」「〇〇ちゃんから教わることが多くて、私にとって先生のような存在です」などと言う支援者がいます。
しかし、このコメントを聞いた親御さんの多くの本音は、「私の子で勉強しないで」というもの。
私もいろいろな世代の親御さんたちとお話しますが、皆さん、このようなことを言われた経験があり、ほとんどの方が不安や不快な気持ちになっていることが分かります。

定型発達の子ども達もそうだと思いますが、自閉症の子ども達の時間というものは、とてもかけがえのないものであり、将来の生活まで大きな影響を与えると思います。
定型発達の子どもの場合、まだ未熟な先生が担任になったとしても反面教師にして成長の糧にしたり、どうやって補っていけばよいか想像することもできます。
しかし、自閉症の子ども達にとっては「反面教師」という存在はなく、みんなが正しい先生であり、そのままの形で大きな影響を受けることがあります。
「この先生は、まだ経験が浅いな」とか、「この先生の言っていることすべてが正しいわけではない」などと、想像力を働かせて解釈し、その結果、行動を起こすことが自閉症の人は苦手だからです。

私も偉そうに言いますが、すべての療育が成功するわけではありません。
でも、自分の療育が目の前の人に大きな影響を与えることは認識しています。
ですから、極力、誤ったり、失敗したりしないように準備や勉強を重要に捉えています。

言った方は何気ない発言かもしれませんが、「勉強になりました」という言葉は親御さんを不安な気持ちにさせます。
どの親御さんも、携わる支援者の影響の大きさを認識していますし、子どものうちに多くの正しいスキルを身に付けて欲しいと願っています。
我が子との時間を支援者のスキルアップのためだけに使ってほしくないのです。

よく本で読んだことや研修してきたことをすぐに実践したり、流行の支援方法を取り入れたりする支援者もいますが、これも考え物だと思います。
自閉症支援の基本は『一貫性』です。
「今までの積み重ねは?」「これからも引き継がれていくの?」
これも受け取り方にとっては、我が子を実験台に使っているような印象を受けることもあります。

謙虚な姿勢や子どもから学ぶ姿勢は大切だと思います。
でも、自分の専門性を高め、子どもに質の高い実践することによって、親御さんとの信頼関係を築くことが1番だと考えています。

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