【No.1405】ありのまま

「ありのままでいい」というが、「そんなわけないだろう」と私は思っていた。
ありのままでいいのなら、勉強する必要はないし、努力する必要もない。
向上心だって必要ない。
だって、ありのままはそのままってことだから。


支援者は当事者に向かって、この言葉を使う。
「あなたはあなたのままでいい」
「障害も個性の一つだと思えばいい」
これは発達の凸凹に苦しんでいる人、いま、生きづらさを感じている人、ずっと感じてきた人に対して、「その苦しみを受け入れろ」「我慢しろ」と言っているように聞こえる。
裏を返せば、その当事者の苦しみに対して、「私はなにもできない」と白旗を上げているようなものだ。
ありのままでいいのなら、支援者などいらない。


ここに愛着障害の視点を持ってくると、聴こえ方が変わってくる。
「ありのままでいい」という言葉は、当事者に向けられた言葉ではなく、支援者自身が反芻したい言葉なのだろう。
ありのまま、つまり、存在そのものを認めてほしいという欲求。
それはまさに胎児期から乳幼児期における愛着形成。
その時期に、「あなたはそこに存在しているだけで愛おしい」という感情を身体で受け取ることができなかった子ども達が外側を大人に変え佇んでいる。


「ありのままでいい」という人は、ありのままでいられなかった人たち。
だから、自分が何かをしないと認められないと思っている。
だから、常に他人の評価を気にしている。
だから、多数派に流されてしまう。
みんなが打つから打ち、みんながするからして、みんなが「発達障害は治らない」というから「治るもんか」と思ってしまう。
見ている先はいつも外で、自分の内側、内言に目や耳を傾けることがない。


「我が子にどうなってほしいか?」
「今後、どのように育ってほしいか?」
という質問に、答えられる親御さんは案外少ない。
「発達障害を治したい」
「発達のヌケを埋めたい」
そんなふうに答える人もいるが、それは治したい派の模範解答であって、その親御さんの内側から出た生身の言葉ではない。
心の奥底から、湧き出るような、その親御さんの”ありのまま”の言葉、声はなんだろうか。




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


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