【No.1319】子ども達から伝わってくるメッセージ

今の科学技術では証明できないけれども、ヒトにはまだ知られていない能力があると思っている。
私が感じる"何か"も、そういったヒトの持つ能力の表れでしょう。
たぶん、その人が歩んできた歴史や今の感情などは、脳みそにだけではなく、身体にも刻まれていて、それが分子レベルか何か分からないけれども、身体から発信しているんだと思います。
私の場合は、目の前の人にもう一人の姿が見えたり、走馬灯のように物語がイメージとして見えたり、映画のタイトルのように文字が見えたりします。
中には憑依するような感じで、その人と同じ感覚になる人もいるようですが、私はそれはあまりないですね。


我が子の発達障害で悩んでいる親御さんは多いですね。
だけれども、その多くは表向きには我が子のことで悩んでいて、本当のところはご自身のことで悩んでいる。
さらに、その自分の悩みは無意識下にあるので、本人は気づいていない。
そんな風に感じています。
少なくとも、私の発達相談ではそうですね。
発達障害という問題はきっかけであり、自分自身の悩みや課題と向き合う入り口のような感じ。


たとえば、これはみなさんも分かりやすいと思うのですが、「私、知識持っています、キリ」の人。
これは支援者にも多いのですが、やたらに知識持ってますアピールをしている。
それほどに知識を持っているのなら、そもそも相談する必要ないですよねー。
もちろん、知識と応用にはそれを結びつける力が必要なので、そういった点で悩み、相談される人もいますが、そうではない人もいる。


このような人達から伝わってくるのは、「私を褒めて」「私を認めて」という声。
発達相談をしていても、本当に我が子のことをよくしたい、治ってほしいと思っているのかな、と思うことがあります。
我が子のことをそっちのけで、私が言うことに対して、「そうですよね」「そうですよね」「私もそう思っていました」などと相槌を打つ。
そして一番のポイントは、「それ、私も考えていました」「それ、私もやってました」と例外なくおっしゃる。
だから、このような人達は、私の発達相談が受けたいのではなく、自分に共感や同意してくれる支援者を本能的に嗅ぎ分け、接近しているんだと感じます。


同じ「知識持ってます、キリ」の人でも、伝わってくるものが違うことがあります。
これも多いのですが、自分の負い目を消し去ろうとして知識を集めるパターン。
つまり、端的に言えば、「私はこんなにも知識があるでしょ」「他の親、支援者とは違うでしょ」という言葉の裏に、「私が過去に犯した間違いに気づかれたくない」「そう周りから悟られたくない」という深層心理が隠れているって感じです。
これは女性特有で、父親からは感じたことがありませんね。
知識や情報で頭は騙せても、動物としての本能は騙せないのでしょう。


ちなみに男性も、父親も、知識や情報、グッズや療法に没頭する人がいます。
だけれども、その人たちの多くは、奥さんが不調のパターンだと思います。
奥さんの体調が悪い、重い愛着障害を持っている、奥さんに発達障害があるなど、育児に全力が出せない状態を傍で見ていて、でも父親である自分にできること、埋められない範囲があって「これ以上、妻には要求できないよな」と思っている。
だから、本来求めている部分はどうにもできない分、ある意味、自分がコントロールできる部分にエネルギーが向かっていくし、発達相談で同席して私にそれを伝えてほしい、うちの子よりもまず妻をどうにかして、というオーラを送ってくる(笑)
奥様の方からは「夫が一人で突き進んで」「夫婦で意見が合わないんです」という愚痴を聞きますが、そういった事情もある。


発達相談という仕事をしていて、純粋に我が子の発達だけの悩み、どうすれば課題が解決できるか、治っていくか、だけが訊きたいという場合はほとんどありません。
もちろん、ほとんどの親御さんはそれだけを相談していると思っている。
だけれども、無意識レベルでは別のことでご自身が悩んでいて、本能脳的にそういった陰の部分に注目する私を嗅ぎ分け、選択しているんだと感じます。


再三言っていることですが、現在の発達障害の問題は、発達に遅れやヌケ、凸凹があること自体が問題ではありませんね。
いくら発達が遅れていようとも、凸凹があろうとも、その子の発達、成長がみられていれば、問題ないわけです。
つまり、問題の本質は、発達していけない今の環境。
当然、遺伝的な要素もあるでしょうし、三代に跨っている環境毒の影響もあるでしょう。
でも、そういったものも、後天的に改善していくことができる。
じゃあ、なぜ、改善できないの?その今の環境とやらを変えていけないの?といえば、子どもにとっての最大の環境である親御さん自身、家庭に問題があるわけです。


正直、その子の発達のヌケや課題の根っこを確認して、それをどうやって育てなおしていけばいいかを伝えるだけでしたら、すぐに終わる話です。
だけれども、その場合、二つの問題があって、1つは私が定期的に確認して指示を出す必要性が出てくること。
それは依存を生み、親御さんの自立を阻みますので、結局、その子が治ることにはならない。


もう一つは、いくらマニュアルがあろうとも、やることが決まろうとも、親御さん自身の無意識下にある課題が解決できなければ、結局は続けることができないし、子どもさんが治っていくことが道具かされてしまうんですね。
それは新たな愛着障害を生み、当然、それまたいびつな発達経過を辿ってしまうことになる。
『道具化』ってなにかといえば、治った我が子が自分を褒めてもらう道具になり、自分の負い目がなかったものにするための道具となる。


親御さんからいろいろ伝わってくるんですから、当然、子どもさん達からもいろいろと伝わってくるんですね。
言葉の有無や知的障害のあるなし、年齢に関わらず、子どもさんの場合は結構、ストレートにメッセージを送ってくれます。
「お父さんとお母さん、いつも喧嘩ばかりしているんだ」
「おねえちゃんと比べられて辛い」
「わたしが生まれてこなければ、こんなにも苦労しなかったのに、と思っているみたい」
「わたしよりも、お母さんを救ってあげて」
「ぼくを使って、みんなから褒めてもらおうとしている。それが寂しい」
「わたしは、"発達障害を治す"というお仕事をしているの」
「サプリ、本当は飲みたくないけれど、我慢して飲んでいるんだ。そっちのほうがお父さん、喜ぶから。家族が仲良くいれるから」
「お腹の中にもう少し、いたかったな」
「生まれてくるのが怖かった」
「ぼくの前に、おにいちゃんがいたけれども、生まれる前に死んじゃったんだ」


今朝のニュースでは不登校やいじめ、子ども達のうつ傾向の調査結果が出ていましたね。
結局、社会の矛盾、大人の課題は、弱いものを通して現れるんですね。
子ども達が悲鳴を挙げているのではなく、大人たちのツケを子ども達が支払わされているんです。
私は発達障害という問題も、子ども達の問題だとは捉えていません。
子ども達の自然な発達を守ることができなかった大人たちが引き起こしていること。
「今だけ、カネだけ、自分だけ」の大人たちが欲望のままに突き進み、次の世代の幸せ、より良い社会を次の世代に、100年後の子ども達に引き渡していく、という当たり前の心を失った結果、発達障害という社会問題を作りだしたんだと思っています。


私が発達障害の人達と関わる仕事しているのは、一人でも多くの人達に治ってもらいたいなと思うのは、社会の矛盾を背負わせてしまった大人の一人としてのせめてもの罪滅ぼしという意味もあります。
私達が生きた時代よりも、我が子には、その次の世代の子ども達には自由に人生を謳歌してもらいたい。
だから、子ども達から聴こえてくるメッセージに耳を傾け、そこから親御さん、そのご家族の課題を見つけ、気づき、変わってもらえるような後押しがしたいと思いながら家庭支援を行っています。





☆『ポストコロナの発達援助論』のご紹介☆

巻頭漫画
まえがき
第1章 コロナ禍は子ども達の発達に、どういうヌケをもたらしたか?
〇五感を活用しなくなった日本人
〇専門家への丸投げの危険性
〇コロナ禍による子ども達の身体の変化
〇子どもの時間、大人の時間
〇マスク生活の影響
〇手の発達の重要性と感覚刺激とのソーシャルディスタンス
〇戸外での遊びの大切さ
〇手の発達と学ぶ力の発達
〇自粛生活と目・脳の疲労
〇表情が作れないから読みとれない
〇嗅覚の制限 危険が察知できない
〇口の課題
〇やっぱり愛着の問題
〇子ども達が大人になった世界を想像する
〇子どもが生まれてこられない時代
〇子育てという伝統

第二章 コロナ禍後の育て直し
〇発達刺激が奪われたコロナ禍
〇胎児への影響
〇食べ物に注意し内臓を整えていく
〇内臓を育てることもできる
〇三・一一の子どもたちから見る胎児期の愛着障害
〇胎児期の愛着障害を治す

第三章 ヒトとしての育て直し
〇噛む力はうつ伏せで育てよう
〇感覚系は目を閉じて育てよう
〇身体が遊び道具という時期を
〇もう一度、食事について考えてみませんか?
〇食べると食事の違い
〇自己の確立には
〇右脳と左脳の繋がりが自己を統合していく
〇動物としての学習方法
〇神経ネットワーク
〇発達刺激という視点

第四章 マスクを自ら外せる主体性を持とう
〇なぜマスクを自ら外せることが大事なのか
〇快を知る
〇恐怖を、快という感情で小さくしていく

第五章 子どもの「快」を育てる
〇「快」がわかりにくいと、生きづらい
〇快と不快の関係性
〇子どもの快を見抜くポイント
〇自然な表情

第六章 子ども達の「首」に注目しよう
〇自分という軸、つまり背骨(中枢神経)を育てる
〇首が育っていない子に共通する課題
〇なぜ、首が育たない?
〇首が育たない環境要因
〇首が育つとは
〇背骨の過敏さを緩めていく
〇首を育てるには

第七章 親御さんは腹を決め、五感を大切にしましょう
〇子育て中の親御さん達へのメッセージ
〇部屋を片付ける
〇子どもと遊ぶのが苦手だと思う親御さんへ
〇ネットを見ても発達は起きません
〇発達刺激という考え方
〇五感で子どもを見る
〇特に幼児期は一つに絞って後押ししていく

第八章 自由に生きるための発達
〇発達の主体を妨げない存在でありたい
〇大人が育てたいところと子どもが育てたいところは、ほとんど一致しない

あとがき
こういう本を読んできました
巻末漫画

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