【No.1513】価値ある“こだわり”
“こだわり”が強い子を傍でじーと見ていたら、なんだか同じところをくるくる回っているイメージが伝わってきました。
たぶん、この子の場合は、脳にその“こだわり”に関係する神経回路があって、そこを電気信号がグルグルと回り続けているんじゃないかと思ったんです。
しかも、一般的な人の脳とは違って、その興奮がなかなか醒めない。
そういった体質かもしれないし、後天的に、まあ、学習によってその神経回路に電気信号が流れ続けている状態が心地よいとなっているのかもしれないね。
“こだわり”というのは周囲から理解されないことも多く、「できればやめてほしい」「やめさせたい」といった相談も多く受けますよ。
でも、それが体質だったり、器質だったりすれば、完全にこだわりをなくすことはできないですね。
こだわる対象を変えたり、こだわる場所を変えたり、「こっちは都合が悪いけど、こっちなら良いです」みたいに、こだわりの矛先を少しずつ変えていくのが現実路線となります。
こだわること自体に価値を持っている人は、自分でもこだわりの形を変えていくことがあるから、子どもさんの場合、成長していくにつれ、環境と折り合いがつくような適当なこだわりになっていくことがありますね。
こだわりを資質として伸ばしていくイメージが持てると良いでしょう。
一方で「やむにやまれぬ」みたいな雰囲気が漂っているこだわりについては、それがたとえ周囲にとって受け入れがたいものであったとしても、対応は難しいです。
こだわることが、それこそ、その特定の脳神経回路の中を電気信号がグルグルと回ること自体がご褒美になっている。
こだわり行動をしているときは、その間だけは辛い何かから逃れることができる。
特定の神経回路を興奮させることで、させ続けることで、ほかの刺激から逃れることができているかもしれない。
「こだわり方を変えろ」と言われても、私にとってはこれが命綱であって、編み出したサバイバル術なんです、ってこともあるでしょう。
「不安&生きづらさがある→こだわることで対処→脳神経回路が強化」を繰り返すと、その行動の形自体を変えることは難しくなりますね。
生活に支障が出るくらいの強いこだわりを持っている人は施設内にたくさんいて、私たち支援員ができるのは、その特定の神経回路を興奮させるきっかけ、刺激を遠ざけることくらいでしたよ。
一度、スイッチとなる刺激が入ると、本人すら止めることが難しい状態になるんです。
ある子は、「止めたいけど、止められない。だから〇〇さん、私から逃げて」と言ってました。
神経回路が興奮しだすと、本人もどうすることができなくなるのでしょう。
そういった子、人達のこだわりの終わりというのは、へとへとになって倒れ込むような感じになります。
脳内物質が消耗しきって初めて、その興奮が止まるようでしたね。
ですから精神科に受診すると、興奮を鎮める向精神薬が処方されていました。
長年服用している人たちは確かに強いこだわりはなくなりますが、その分、感情の起伏もなくなっていましたね。
今思うに、こだわりのテーマは「価値あるこだわり」ですかね。
理想でいえば、本人にとって価値あるこだわりが、周囲や社会にとっても価値あるものであったなら幸せ。
正義や真実へのこだわりは世のため、人のためになることがあるでしょうし、手作業、技術、芸術の世界につながれば仕事や自身の癒しになることもあるでしょう。
ただ周囲には受け入れがたい本人にとって価値あるこだわりについては、できるだけ神経回路が強化され、強固なネットワークにならないよう小さなうちから対応することが大事じゃないかと思っています。
同じ神経回路の中を電気信号が流れないように、別の興味関心に導いてあげたり、ほかの神経回路が動き出すように促してあげたり。
興奮が醒めにくい脳の体質だったら、呼吸を育てることで、自律神経から整えていく方法もあると思いますね。
親御さんには「なぜこだわるのか?」ではなく、「独自の価値のその価値ってなんだろうか?」という問いが持てるよいですね、とお話することが多いです。
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