【No.1196】本に込めた想い

今朝、ジムで上半身をイジメてきたあと、家に着くタイミングで佐川のお兄さんが大きな段ボールを抱えてやってきました。
お兄さんが軽やかに段ボールを持つ上着の袖から出たその上腕は素晴らしい張りをしていて、羨望の眼差しで見ていると、送り主のところに「花風社」の文字が書かれているのに気がつきました。
今回、新刊の制作に携わらせていただいたため、お世話になった方達にお贈りしようと思い、まとまった数をお願いしていたのです。


午前中は、まだ私が何者でもなかった頃、そしてほとんどの人が起業することを、起業したことを鼻で笑っていた時期に応援してくださった方たちへ感謝の気持ちを込めて、新刊の発送を行っていました。
午前に郵便局から郵送しましたので、明日、明後日にはお手元に届くと思います。
もし水曜日頃までに届かず、「私も散々世話したのに!」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください(笑)
即、郵送いたします。


今回、初めて本の制作に携わらせていただいたのですが、1冊の本ができるまでに、これほど多くの方達の力と専門性が注がれているのだと実感することができました。
本をめくりながら、携わってくださった皆さまの顔が思い浮かびます。
本は好きで、子ども時代からたくさん本を読んできた私ですが、何気なく手に取り、読んできた本一つ一つに多くの人が携わり、たくさんの想いが詰まっていることに改めて気づくことができました。
いろんな人が携わり、いろいろな考えや体験を元に出来上がった本ですので、全面的に同意していただく必要はなく、「ここはそう思う」「いや、ここは違う意見だ」「これってどういうことだろう」など、読んでくださる皆さまが主体的に考え、そしてより良い明日に繋がるようなきっかけになれば、と思っております。
本を読んでくださった前と後で、何かが変わるのでしたら、それがその人の幸せに近づけるのなら、私は心から嬉しく思います。


そんなこんなで、新刊の発売と同時に、いろいろなことが動き始めて、急にバタバタと忙しい日々を過ごしていました。
そしてやっとのことで、先週の金曜日の「おかえりモネ」を録画で観ました。
鈴木京香さん、お母さんが家族が集まる中、震災当時の出来事を語る場面は良かったですね。
あれこそ、まさに心の傷を癒していく自然な人間の姿だといえます。


震災当時、いろいろな葛藤や悲しみ、心の傷を負った人は多いと想像します。
そこで政府はカウンセラーの派遣を早々に決め、東北各地に派遣していました。
しかし、これまた今と同じで「やっている感」だけなんです。
想像すればわかります。
震災から間もないときに、目の前にカウンセラーが現れる意味、そしてその人がどのように感じるのか。
ショックがまだ生々しいとき、カウンセラーの一言一言がその瞬間を思い出させてしまうことを。
かさぶたさえできていないのに、その傷に触れようとする感じです。
カウンセリングは追体験の要素があるので、逆効果だと私は考えています。


その人が抱えた心の苦しみ、心の傷を癒していくには、その人が自分自身で向き合えるための時間が必要なのです。
それがモネのお母さんは6年かかった、いや、6年という月日が必要だったわけです。
ああやって自ら家族に打ち明けることができるまできたことが大事であり、それを他人が「早く楽になれ」というのは間違いなのです。
あの場面にいたのは、カウンセラーではなく、家族でした。
あの場にいた家族は、お母さんの内側に合った自らで傷を癒そうとする力を後押しする雰囲気を作っていたのだと思います。
お母さんの中での時間の経過と家族の雰囲気が協応したとき、傷を癒し、また前に進むための一歩を踏み出せることになります。


良い思い出も、悪い出来事も、いろんなものを抱えて生きるのが人間という生き物だといえます。
他の動物なら、悪い出来事は反射で対処し、決して抱えて生きようとはしないものです。
辛い出来事に対しても、それが自分の人生の中に起きた意味を見出そうとし、また前に進むための力に変えることができるのが人間らしさとも言えるのではないでしょうか。
そしてそのような人達が最後のお父さんのセリフのように、「子どもの笑う顔ってのはぁ、やっぱりいい、いいもんだな~」と、次の世代に対する愛へとつながっていく。
10分間、我が子を想ったお母さんと、島の子ども達の笑顔のための塾を作ろうと言ったお父さん。
まさに人間が人間として成長、成熟していく姿、前を向いて生きていく姿が表現されていたと感じました。


今回、新刊の制作に携わった皆さんは、次の世代への愛をもった方達だと私は思っています。
我が子だけ、自分の親族だけ、大切にしている人だけ、ではなく、次の世代、特に今の子ども達、これから生まれてくる子ども達のために、自分たちの持っている力を注ぎたいという方達です。
ですから、今の子ども達の仕打ち、保身まみれの大人たちからの理不尽な対応に、心から怒ることができているのだと思いますし、私もその一人だと思っています。


より良い社会とは、子ども達がよりよく生きることができる社会のことをいうのだと思います。
私が20年間、発達の世界で見てきたこと、感じてきたこと、そして得た知識や情報が、今の子ども達と未来の子ども達のために1つでも役立てる点があるのなら、今回本の制作に携われたことを心から嬉しく思います。
ぜひ、我が子のより良い未来のため、そしてこれから生まれてくる子ども達の明るい未来のために行動できる大人たちを増やしていきましょう。
私も今までと変わらず、コツコツと自分にできることを行っていきます。


まるでその場にいたかのように、私がお伝えした発達相談の場面を描いてくださった小暮画伯さん。
一度見たら忘れないようなイラスト、ロゴを制作してくださった廣木さん。
私と浅見さんがもっとも伝えたかった「親心に自信を持とう!」というメッセージをそのイメージ通りのイラストで表現してくださったおーちゃんさん。
今の実力よりも、未来へのバトンとして私を著者に選び、私が得てきたものを1つの形にして世の中に送りだしてくださった浅見さん。
貴重な知見を教えてくださった花風社の著者の皆さま、全国にいる実践家の皆さま。
本を構成し、印刷し、全国の書店へ流通、送り届けてくださっている皆さま。
そして実際に本を注文し、購入してくださった皆さまに感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
一緒に仕事ができて嬉しかったです。




花風社さんの新刊【医者が教えてくれない発達障害の治り方 1 親心に自信を持とう】の詳細のご確認・ご注文はこちらからできます→ http://kafusha.com/products/detail/55
一般書店では15~18日頃より購入できる予定です。


10月24日(日)13:30~15:00 函館蔦屋書店2階イベントスペースにて出版記念講演会を開催いたします。ご予約不要で入場は無料ですが、先着30名になっております。詳細は函館蔦屋書店HPよりご確認いただけます。


11月6日(土)午後1時よりzoom講演会『コロナ禍のヌケも育て直せる!』で講師を務めさせていただきます。主催は花風社さんです。講演内容やお申し込み方法はこちらをご覧ください。当日リアルタイムで参加できない方は、後日配信も行っております。


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