構造化された支援が中途半端で終わる理由

構造化された支援が中途半端で終わる理由を、トレーニングを受けた人同士で話し合ったことがありました、もう10年くらい前ですかね。
そこで出た理由が、「構造化された支援ってめんどくさいから」でした。

確かに、ちゃんとやろうとしたら、めんどくさいんですよ。
だって、まず子どもの実態を把握しますよね。
そして、それを元に構造化された支援を行う、もちろん、グッズを制作、準備。
で、構造化された支援を実際に使ってもらい、ここでも評価。
さらに、その評価を元に、再び構造化された支援を作りかえる。
つまり、評価→構造化→実践→再評価→再構造化→…っていうように、その構造化が最適化されるまで、ずっとこれらのプロセスを繰り返すんですね。

特に、子どもさんの場合、どんどん成長しますよね。
ということは、成長のスピードに合わせて、どんどん変えていかなければなりません。
しかも、経験の広がりから、場面の広がりもあります。
ということは、それだけの場面、種類の構造化が必要になりますし、その1つ1つに上記のプロセスを行わなければなりません。

そのため、よく起きるのが、途中で力尽きるケース。
支援者が追い付けないんですよ、その人の成長のスピードに。
だから、本当ならもっと高いレベルで、自由度が高く、自然な形態にできるのに、っていう手前の段階で止まっちゃうんです。
一方、本人も自分のレベルよりも低いレベルの支援で止まっているため、難なくラクに使えちゃうんですね。
この最適化まで続くプロセスのことを知らない人が見たら、「ちゃんと構造化された支援が利いているね」ってなるんです。
この結果、支援者同士、もしくは支援者と親御さんの間で、「この辺でOKね」ってなる、本人の同意が含まれない中で。

本気で構造化された支援、最適化を目指したら、とっても大変ですね。
だから、NCで実際に使われている構造化された支援のグッズは、きれいに作られていない物が多い。
だって、どうせすぐに形が変わり、使われなくなる物だから。
トレーナーの人が、「この構造化は、自閉症の人が作ったのかい。こだわりが強いようだねww」なんていう冗談を言うくらいきっちり同じのが大好きな日本人はビックリするかも。
まあ、1つ1つの構造化をきれいに作り過ぎるから、それを捨てて、次の構造化に行きにくいっていう人もいるかもしれませんね。

最適化のプロセスを考えても、彼らが自閉症の人達の成長を大切にしていることがわかります。
「構造化された支援があるから、自閉症の人達は成長するんだ」なんて主張していないですよね。
「自閉症の人達が成長したから、それに合わせて構造化された支援が必要なんだ」っていうのが、伝えたかったこと。
だからね、「構造化された支援」が全面に出るような研修会は、お金や名誉、宣伝の匂いがプンプンしちゃいますね。

「私が作った構造化された支援、良いか見て下さ~い」っていうのは、どうなのかな?
もし専門家と呼ばれるような人に頼むんだったら、構造化を準備する前の評価、見立ての方じゃないかな?
評価が歪んでいるから、構造化も歪んでる。
評価が甘いから、最適化の前の段階で止まっている。
とってもシンプルなこと。
構造化された支援を本気でやろうと思ったら、最適化までのプロセスを繰り返す根性が必要ですね。
魅せるための構造化だったら、そこまでの意識は必要ありませんが(ブ)

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