2016年8月6日土曜日

融資詐欺に遭いそうになった自閉症の学生さん

差出人が書かれていない封書が届いたら、「あれっ…」と思いますよね。
ポストに入っていた息子宛に届いた差出人のない封筒を見て、親御さんは嫌な予感がしたそうです。
その嫌な予感は現実のものとなります。
次の日、息子さんの部屋の机の上に、先ほどの封書が封が開いた状態で無造作に置かれていました。
横には手紙も一緒に。
折れ曲がった手紙の隙間から見えた文字に、親御さんは血の気が引きます。
「ご融資に関する審査が通りました」という赤色で書かれた文字に…。

帰宅した息子さんに、「お金が足りなくて困っていないか」「お金を借りたりしていないか」などと、訊いたそうです。
でも、返事は「困っていない」「借りていない」と一点張り。
夜も遅かったので、そのまま翌日を迎えたのでした。

翌日は運の悪いことに(?)、私の訪問日。
家の扉を開けると、別室に通され、親御さんから、かくかくしかじかと説明を受けました。
メモしていたという手紙に記されていた携帯の番号をネットで検索。
被害にあった人のサイトがひっかかり、闇金業者と判明。
予定していた勉強の内容は、急遽、差し替え決定で、ここから、長い話し合いが始まるのでした。

昨晩の親御さんからの投げかけに、マズイと察したのでしょう。
当然、私が尋ねても、「知らない」「わからない」の連続です。
いやいや、眼が泳いでるし、多弁になってるし、耳が真っ赤だし、話の辻褄があっていないよ、と心の中で思いましたが、そこは我慢我慢。
本人が言いたくないのならと、「学生を狙った詐欺が流行っているから、それについて勉強しよう」と、いつものような流れへと進めました。

「差出人が書かれていない封筒が来たら、どう思う?」という質問に、「差出人を書き忘れたかもしれない」「封筒の中に、差出人が書かれているかもしれない」という答え。
知人同士の手紙だったら、差出人の書き忘れはあるかもしれないけれど、企業だったらあり得ない話。
一般的に企業は何らかのやりとりをしたいために手紙を送るはずだから、自分たちの連絡先を書かないわけがない。
差出人が書いていないのなら、知られたくない理由があると想像する必要があるし、もし詐欺ではない企業であっても、差出人を書き忘れるような企業だったら、信頼できない企業でしょ、と説明。
すると、「封筒を見て、そんな風には思わなかったです」と驚いたように言うので、「じゃあ、差出人が書かれていない封筒があったら、見せてね」と私は言いました。
一瞬、間ができたあと、ごそごそと机の中から例の封筒と手紙を出してきて見せてくれました。

実際の手紙は、A4サイズでパソコン書き1枚。
見た瞬間、「これは詐欺」というような文面でしたね、というか日本語もおかしいし。
とにかく「審査に通った」「融資決定」ということと、今後、どうしたら良いかの説明、そして最後には「担当:渡辺」という文字と連絡先の携帯の番号。
「この文面見て、怪しいと思わなかったの?」と尋ねましたが、ピンときていなかった様子だったので、1つずつツッコミを入れて手紙を読んでいきました。
「企業の住所書いていないでしょ、というか企業の名前すら書いてないし」
「渡辺って苗字だけはおかしいでしょ、渡辺って誰、偽名じゃない?」
「キャンペーン中で、学生の皆さまは、特別低金利って、具体的な数字書いていないでしょ」などなど。
「封筒の消印が“東京都葛飾区”ってなってるけど、ここ見た?」
「書かれている携帯電話の番号、ネットで検索してみた?」
と尋ねても、「見てませんでした」と言い、「心当たりがないので、書いてある電話番号に掛けて訊いてみようかなと思ってました」と言うので、危ないところでした(冷や汗もプラス)。

本人が言うには、以前、街を歩いていたら、「お金困っていませんか?」「融資受けませんか?」と、若い男の人から話しかけられたそうです。
断っても、断っても、ついてくるので、「じゃあ、アンケートだけでもお願い」という言葉に乗っかり、アンケートに答えてしまったそうです。
多分、こっちのアンケート記入が目的だったのでしょう、その若い男性は。
そこには大学名、住所なども書く欄があり、あまり考えずそのまま書いてしまったということでした。
それじゃあ、怪しい手紙がくるわけです。

最後に、アンケートにむやみやたらに答えないことと、最初に個人情報の記入が求められる欄が確認すること(普通のアンケートでは個人が特定されるような情報を訊かれたりはしない)を説明し、またもし闇金を借りてしまったら、どういったことが起きるか、リスクがあるかを一緒に考えました。
自分だけの問題ではなく、親や兄弟まで影響があること、奨学金の融資とは違うことに気が付いたようでした。
近頃、学生を狙った融資の詐欺が流行っているそうで、大学でも注意喚起がなされていたり、友人でも詐欺に遭った人がいたそうです。
でも、友人はネットを使った詐欺だったし、自分は詐欺に遭っている自覚がなかったから、ということでした。
確かに詐欺っぽくない詐欺を想像するのは、彼には難しかったかもしれません。
注意喚起はされても、詐欺という存在は知っていても、具体的な詐欺までは知りませんでした。
「経験して分かる」ということもあるかもしれませんが、詐欺は経験して…なんて言ってられませんね。
親御さんが「発達障害の学生さんが息子みたいな目に遭わないように」ということで、ブログに書きました。
誘惑の多い夏休み、特に一人暮らしの学生さんはお気を付けください。
また注意喚起するときは「詐欺に注意」だけではなく、もっと具体的な話をしていただければと思います。

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