2015年11月18日水曜日

親御さんの"揺らぎ"

最近、ある親御さんからの依頼を断ることがありました。
以前にも、他の親御さんですが、断ったことがあります。
別に依頼の内容が突拍子もないことでも、目標達成の可能性がないことでもありません。
お引き受けすることもできた依頼です。

私はボランティア活動ではなく、商売として支援、療育を行っていますので、本来なら受けるべき依頼なのだと思います。
学校や支援機関では断られることが多い依頼にも、積極的に引き受けてきました。
事業開始当初より、「NO」と言わないてらっこ塾で売っています。
それなのに引き受けなかった理由とは・・・。

それは親御さんに"揺らぎ"を感じたからです。
この"揺らぎ"とは、悩んでいるとは別の意味です。
そもそも悩んでいない親御さんはいませんし。
揺らいでいる親御さんは、ご自身の中に選択肢も、方向性もお持ちではない、といった印象を受けます。

何かしなければならないことは分かっているけれど・・・
「何が問題だか分からない」
「何から手をつけていけばいいか分からない」
「どんな方向に向かえばよいか分からない」
「自分自身、何が困っているか分からない」
その結果、(表現は適切ではないかもしれませんが)手あたり次第、いろいろな支援機関を訪ねたり、書籍やネット、親御さん同士の交流から情報を得ようとしたりする。
そして、私が意見を述べたり、質問したりすると、言っていることがコロコロ変わる。
こういった雰囲気を感じると、私は親御さんの中に"揺らぎ"を見ます。

別に、揺らぐことがいけないとか、間違いだとか言っているわけではありません。
ただ、この揺らぎの幅が大きいときに、支援者が介入することに危険性を感じているのです。
親御さんが定まっていないときには、支援者に依存してしまう危険性があります。
親と子の間に支援者が入り、親子の距離を広げてしまう危険性があります。
親御さんの養育力を高める機会を奪い、親御さんの手の中から我が子の支援を奪ってしまう危険性があります。
そして、最も懸念されることが、親御さんの揺らぎが支援の揺らぎになり、結果としてお子さんの揺らぎ、成長の揺らぎが起きることです。
土台がしっかりしていない子の場合、その揺らぎが積み上げてきたものを一気に壊してしまう危険性があるのです。

私も、この道に進んで10年以上が経ちます。
その歩みの中で出会ってきた親御さんで揺らぎが少ない人のお子さんは、成長していることが見て分かります。
しかし、揺らいでいる親御さんのお子さんには、成長を見ることができないことが多いです。
反対に、持っている力から考えると、「成長できずにいるな」と感じる子の親御さんを見ると、揺らいでいることが多かったです。

冒頭の揺らぎを感じた親御さんに対しては、頭の中を整理するお手伝いをしました。
そして、情報を提供し、「お母さんの中で"揺らぎ"がなくなったら、進むべき方向性が見えてきたら、またお電話ください」と伝えました。
親御さんの迷いや揺らぎを小さくするために、支援者がリードすることはありだと思っています。
しかし、お子さんの支援自体をリードすることは間違っていると思っています。
支援者は第三者であり、一生の支援はしません。
本人を中心とし、本人の成長と豊かな人生に向けて、家族が一番側にいる。
そして、その家族の外側に支援者がいるのだと思います。

お断りした親御さんではありませんが、時々、「とにかく大久保さんにお任せします」と言われることがあります。
そんなときは、決まって「それはできません」と返事をしています。
そして、何を任せるのか、どの部分を任せるのか、ということを一緒に考えるお手伝いをします。
主導権は、本人と家族に持っていてもらいたいです。
そして、自分たちの意思で支援者を利用してもらいたい。
そうすることで、本人も、家族も、未来に向かって前向きに、自分の足で歩いているという実感を持ちながら進んでいけるのだと思います。
本人だけでなく、家族の方、一人ひとりにも、そして家族という集合体においても、成長してもらいたいと願っています。

4 件のコメント:

  1. 次女が小学部の低学年頃までの
    私の事が書かれてる��
    グラグラ揺らいでたからなぁ。
    あの頃から見たら親子共々成長できたかな��

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    1. ななつぼしさんへ

      娘さんが小さいときは、ななつぼしさんも同じような状況だったのですね。
      でも、反対に言えば、その辺りから"揺らぎ"が落ち着き始めたのは早いような気がしますね(^。^)

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    2. 診断が早かったから
      娘にはもったいない時間を過ごさせてしまったなと。
      支援者にも恵まれていた環境だったのに
      現状はよい方向に向かなかったので
      それは私のせいだと思っています。

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    3. ななつぼしさんへ

      当時、なかなか良い方向へと行かなかった理由をご自身のせいだったと思われているのですね。
      もしかしたら、そのような思いの親御さんは少なくないのかもしれません。
      しかし、その一方で渦中にいる親御さんは、「何か答えがあるはずだ」と、答えを追い求めている方も少なくないと思います。

      もともと答えなんか、外には見つからないですね。
      ナントカ療法とか、有名支援者とか、が治したり、成長させてくれるわけではありません。
      答えは、その子の中にありますから。
      その子に合った支援をオーダーメイドする必要があるのです。
      言い換えれば、取捨選択をする。
      でも、その取捨選択をするにも、基準が必要なわけです。
      本人がどんな風に成長したいのか、また親御さんがどんな風に我が子に成長してほしいのか。
      それがしっかりしてくると、ナントカ療法や支援者の名前に惑わされず、我が子に必要な支援、我が子の成長につながる支援が見分けられるようになると思います。

      障害のあるなしに関わらず、どのように成長してほしいか、どんな大人になってほしいか、どんな人生を歩んでほしいのか、を家族で話し合えることが大切だと思います。
      まずはそこからですね。
      特に"揺らぐ"親御さんは、家族の中でも孤立していることが多いので、その辺もひっくるめてどのようにサポートしていくのかを考えています。

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