1か月間の特別プログラム

1か月間に渡る特別プログラムが終了しました。
最初は、「なんでトレーニングを受けなきゃならないんだ」というような様子でしたが、途中から想いが伝わり、本人は本当に一生懸命頑張ってくれました。

私が最初に伝えたことは、「障害者として生きる必要はない」ということです。
その人は、自分が自閉症、発達障害であることを認めたくない、受け入れたくないという気持ちが強かったです。
だから、一人の人として接し、メッセージを送り続けました。
自分の弱みを知ることは、成長するために必要なこと。
強みを活かすだけではなく、弱みを克服することも大事であること。
努力することではなく、努力し続けることが重要であること。
自分の資質を磨き、社会に還元していくことが大切であること。
そのためにも、多くのことを学び、しっかり働けるために準備をすること。

その人は、自分の障害を否定しつつも、できない理由を障害のせいにしている様子がありました。
しかし、トレーニングを続ける中で、気持ちも変わっていき、学ぶことにどん欲になっていきました。

彼はよく「こんなこと、初めて教わりました」と言っていました。
挨拶の意味、どうして他人と協力するのか、働く意味・・・。
言葉以外にも、相手に気持ちが伝わる方法があることも知りませんでした。
彼はずっと自閉症支援は受けてきていませんでした。

依頼してくれた方たちが全面的に任せていただいたため、思い描く理想的なプログラムを計画し、すべて実施することができました。
脳へのアプローチ。
身体へのアプローチ。
そして、実践的な学習。
スポンジのごとく、吸収を続け、どんどん身に付け、日々の生活に活かしていきました。
固かった思考も、身体も、整えられ、自然な会話や状況にあった行動、ふるまいなど、今までにみられなかった変化がありました。
こうしてみると、彼は学ぶことを欲していたのだと思います。
ずっと押し付けられてきた蓋が取れ、一気に資質が開花したようです。
別人のようにナチュラルになりました。

公的な機関なら、数か月に1回、しかも相談がメインのところ、みっちり1ヶ月、彼だけのためのトレーニングを実施することができました。
一般的な機関で計算すると、数年分のトレーニングを受けたことになります。

トレーニングの中で、自分で自分の脳と身体を整える方法、自分自身で学び、成長する方法も取り組みました。
きっと今のまま、「学びたい」「成長したい」「弱みを克服したい」という気持ちが続く限り、彼は成長を続けていくでしょう。
そして、彼が目標とする自立と社会貢献も可能になってくると思います。
私にとっても貴重な経験ができ、近くで未来のある若者の成長を見続けられたことはとても幸せなことでした。
本人と、ご理解、ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

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